特定技能
「特定技能」とは
外国人労働者の受け入れを拡大するため2019年4月に新たな設けられた在留資格
深刻化する人手不足への対応として、政府は外国人労働者受け入れ拡大を目的にに「特定技能」の在留資格を新設しました。
特定技能とは、生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある特定産業16分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に創設された在留資格です。特定技能の在留資格が新設されたことで、今後日本で働くベトナム人、インドネシア人、ミャンマー人材などの東南アジア諸国の外国人はますます増加すると考えられます。
特定技能/特定産業16分野
①介護/②ビルクリーニング/③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業/④建設/⑤造船・舶用工業/⑥自動車整備/⑦航空/⑧宿泊/⑨農業/⑩漁業/⑪飲食料品製造業/⑫外食業/⑬自動車運送業/⑭鉄道/⑮林業/⑯木材産業
(介護以外は特定技能2号でも受入れ可)
※2号は更新の必要はありますが、期限が無期限なため本人が望めば日本にずっと滞在して働き続けることも可能となります。
技術・人文知識・国際業務
企業等との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野
特定技能外国人が従事可能な業務【分野別】
介護 | 身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事,排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等) ※訪問系サービスは対象外 【1業務区分】 |
---|---|
ビルクリーニング | ・建築物内部の清掃 【1業務区分】 |
素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業分野 | ・機械金属加工 鋳造/ダイカスト/金属プレス加工/工場板金/鍛造/塗装/電気機器組立て/機械検査/機械保全/工業包装/鉄工/機械加工/仕上げ/プラスチック成形/溶接 ・電気電子機器組立て 機械加工/仕上げ/プラスチック成形/電気機器組立て/電子機器組立て/プリント配線板製造/機械検査/機械保全/工業包装 ・金属表面処理 めっき/アルミニウム陽極酸化処理 【3業務区分】 |
建設 | ・土木区分 型枠施工/コンクリート圧送/トンネル推進工/建設機械施工/土工/鉄筋施工/とび/海洋土木工/その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業 ・建築区分 型枠施工/左官/コンクリート圧送/屋根ふき/土木/鉄筋施工/鉄筋継手/内装仕上げ/表装/とび/建築大工/建築板金/吹付ウレタン断熱/その他、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替又は係る作業 ・ライフライン・設備区分 電気通信/配管/建築板金/保温保冷/その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業 【3業務区分】 |
造船・舶用工業 | ・溶接 ・仕上げ ・塗装 ・機械加工 ・鉄工 ・電気機器組立て 【6業務区分】 |
自動車整備 | ・自動車の日常点検整備/定期点検整備/分解整備 【1業務区分】 |
航空 | ・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務・手荷物・貨物取扱業務等) ・航空機整備(機体、装備品等の整備業務等) 【2業務区分】 |
宿泊 | ・フロント/企画・広報/接客/レストランサービス等の宿泊サービスの提供 【1業務区分】 |
農業 | ・耕種農業全般(栽培管理・農産物の集出荷・選別等) ・畜産農業全般(飼養管理・畜産物の集出荷・選別等) 【2業務区分】 |
漁業 | ・漁業 漁具の製作・補修/水産動植物の探索/漁具・漁労機械の操作/水産動植物の採捕/漁獲物の処理・保蔵/安全衛生の確保等 ・養殖業 養殖資材の製作・補修・管理/養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理/安全衛生の確保等 【2業務区分】 |
飲食料品製造業 | ・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工/安全衛生) 【1業務区分】 |
外食業 | ・外食業全般(飲食物調理/接客/店舗管理) 【1業務区分】 |
自動車運送業 | ・事業用自動車(トラック)の運転、運転に付随する業務全般 ・事業用自動車(タクシー)の運転、運転に付随する業務全般 ・事業用自動車(バス)の 運転、運転に付随する業務全般 |
鉄道 | ・軌道整備 軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 ・電気設備整備 電路設備、変電所等設備、電気機器等設備、信号保安設備、保安通信設備、踏切保安設備等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 ・車両整備 鉄道車両の整備業務等 ・車両製造 鉄道車両、鉄道車両部品等の製造業務等 ・運輸係員 駅係員、車掌、運転士等 |
林業 | ・育林、素材生産等 |
木材産業 | ・製材業、合板製造業等に係る木材の加工等 |
特定技能と技能実習の違い
特定技能 | 技能実習 | |
---|---|---|
目的 | 労働力の確保 | 技能移転を通じた開発途上国への国際協力 |
在留期間 | 1号:通算5年 2号:上限なし | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 (合計で最長5年) |
外国人の技能水準 | 相当程度の知識又は経験が必要 なし 入国時の試験 技能水準、日本語能力水準を試験等で確認 ※技能実習2号を良好に修了した場合は免除 | なし ※介護のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり |
受け入れ機関の人数枠 | なし (介護・建設分野を除く) | あり |
転職 | 可能 | 原則不可 |
家族の帯同 | 1号:不可 2号:要件を満たせば可 | 不可 |
外食分野への従事 | 可 | 不可 |
支援を行う団体 | 登録支援機関(2号は、支援対象外) | 監理団体 |
介護分野の場合【例】
介護分野における特定技能外国人の受け入れ予定人数は、2019年からの5年間で6万人です。出入国在留管理庁の調査によると、2021年12月時点で介護分野に従事できる特定技能外国人を5,000人ほど受け入れています。
ただし、介護分野は、受入れ機関ごとに受け入れられる特定技能外国人の数に上限があります。介護事業所が常勤で雇用している日本人介護職員の総数が上限である。
業務内容
介護分野に従事する特定技能外国人は、訪問サービス以外の身体介護や支援業務に従事できます。主な業務内容として、入浴や食事、排せつなどの介助やレクリエーションの実施、機能訓練の補助などが挙げられます。
求められる人材
介護分野で求められる人材は、「技能実習2号を良好に修了した人」または「技能水準と日本語能力水準を満たした人」のうち、在留資格である「特定技能1号」を取得した外国人です。ここでは、特定技能外国人が介護分野で従事する場合に必要な「技能水準」と「日本語能力水準」について解説します。
技能水準
介護分野の場合「介護技能実習評価試験」に合格することで技能水準を満たしているとみなされます。
試験名 | 介護技能実習評価試験 |
---|---|
実施団体 | 厚生労働省(試験作成を除く、実施および運営は同省の補助事業者) |
URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html |
試験内容 | 全45問(試験時間60分) 実施形式:CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式 【学科試験】 問題数 40問 ・介護の基本(10問) ・こころとからだのしくみ(6問) ・生活支援技術(4問) 【実技試験】 問題数 5問 ・生活支援技術(5問) |
合格基準 | 問題の難易度で決定 |
受験料 | 1,000円程度 ※2022年5月18日時点 ※参照元:厚生労働省「介護技能評価試験 試験実施要領」 |
日本語能力水準
介護分野では、下記のいずれかの試験に合格することで日本語能力水準を満たしているとみなされます。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(N4以上)
- 介護日本語評価試験
試験名 | 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) |
---|---|
実施団体 | 国際交流基金 |
URL | https://www.jpf.go.jp/jft-basic/ |
試験内容 | 全50問程度(試験時間60分) 実施形式:CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式 【4セクション】 ・文字と語彙(約12問) ・会話と表現(約12問) ・聴解(約12問) ・読解(約12問) |
合格基準 | 200点以上 |
受験料 (国内受験の場合) | 7,000円 ※受験する国によって料金は異なります。 ※2022年5月18日時点 ※参照元:「国際交流基金日本語基礎テスト」 |
試験名 | 日本語能力試験 |
---|---|
実施団体 | 国際交流基金、日本国際教育支援協会 |
URL | https://www.jlpt.jp/ |
認定の目安 | N1~N5(数字が小さいほど、難度が高い設定) ※介護分野の場合は、N4以上必須 |
試験内容 | 【N4の試験科目】 ・言語知識(文字・語彙)科目(25分) 項目/漢字読み・表記・文脈規定・言い換え類義・用法 ・言語知識(文法)・読解科目(55分) 項目/文の文法1(文法形式の判断)・文の文法2(文の組み立て)・文章の文法・内容理解(短文)・内容理解(中文)・情報検索 ・聴解(35分) ・課題理解・ポイント理解・発話表現・即時応答 |
合格基準 | 【N4の合格基準】 合格点:90点 得点区分別得点 ・言語知識(文字・語彙・文法)・読解:38点(基準点) ・聴解:19点(基準点) |
受験料 (国内受験の場合) | 6,500円 ※受験する国によって料金は異なります。 ※2022年5月18日時点 ※参照元:「日本語能力試験」 |
試験名 | 介護日本語評価試験 |
---|---|
実施団体 | 厚生労働省(試験作成を除く、実施および運営は同省の補助事業者) |
URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html |
試験内容 | 全15問、試験時間30分 実施形式:CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式 【科目】 ・介護のことば(5問) ・会話の会話・声かけ(5問) ・介護の文書(5問) |
合格基準 | 問題の難易度で決定 |
受験料 | 1,000円程度 ※2022年5月18日時点 ※参照元:厚生労働省「介護日本語評価試験 試験実施要領」 |
対象となる外国人は、介護技能評価試験と2つの日本語試験に合格した上で入国し、介護事業所で最大5年間受け入れすることができます。
5年後は帰国となりますが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、永続的に働くことができます。
注意事項
特定技能「介護」で任せられる業務は、身体介護等のほか、これに付随する支援業務とされています。
例えば、入浴、食事、排泄の介助等の身体介護のほか、レクリエーションの実施や機能訓練の補助等を行うことができます。
ただし、訪問系サービスについては、対象外とされていますので、注意が必要です。
対象施設については、以下のリンク先をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000941619.pdf特定技能外国人の雇用形態は、「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められませんので、注意が必要です。
また、労働条件についても、報酬の額や労働時間等が日本人と同等以上でなくてはいけません。
事業所受け入れ人数の上限
https://www.mhlw.go.jp/content/000982585.pdf事業所で受け入れることができる特定技能1号の外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員(雇用保険被保険者)の総数を上限とされています。